アロアテラピーの基礎知識

ラベンダー 万能クリーム

エッセンシャルオイルってなに? Part 2 〜精油ができるまで〜「アロアテラピーの基礎知識 第3回」

今回は、前回の続き。エッセンシャルオイルってなに?のpart2です。

≪Part1はこちらから≫
エッセンシャルオイルってなに? Part 1「アロアテラピーの基礎知識 第2回」

日本でも一般の人々にエッセンシャルオイルや精油という名称が浸透して長くなりますが、実は最初に日本にエッセンシャルオイルが入ってきたのは江戸時代と言われています。日本国内で蘭学(西洋医学)の治療法として当時はランビキと呼ばれる蒸留器を用いて、精油が日本国内で蒸留されていたそうです。その後も明治から戦前にかけては日本国内でも精油の製造が盛んでしたが、その後衰退し現在では殆どのエッセンシャルオイルは海外で製造されています。本日は現代のエッセンシャルオイルの製造法方法についてご説明します。

エッセンシャルオイルの作り方は

エッセンシャルオイルは植物の花、葉、種子、根、樹脂などの芳香分子を含む芳香植物から抽出されています。芳香分子はとてもデリケートで熱などにより変化しやすい性質があることから現在では植物の種類により、主に3つの方法を用いて作られています。

1,水蒸気蒸留法

エッセンシャルオイルの作り方-水蒸気蒸留法
植物原料を蒸留釜に入れて水蒸気で植物を蒸し、熱や蒸気により植物のエッセンスを貯蔵している細胞を壊すことでエッセンスを放出させます。放出されたエッセンス(精油)と水蒸気は冷却タンクで冷却され、液体になります。この液体は時間が経つと水とオイルに分離し、比重が軽いエッセンシャルオイルが上に浮き上がり、比重の重いフローラルウォーターは下に沈みます。このように水蒸気蒸留法で抽出された精油の生産量はわずかで植物に対して平均して約1%と言われています。つまり1kgのラベンダーの精油を作るためにラベンダーが100kgものラベンダーが必要ということになりますが、ローズに至ってはさらに少なく0.02%と言われています。

また精油を抽出する段階で分離した水分はフローラルウォーター(芳香蒸留水)と呼ばれ、芳香成分をわずかに含んでいますがエッセンシャルオイルよりも効果が穏やかで禁忌事項が殆どないため、エッセンシャルが使用できない小さなお子さんやお年寄り妊娠中の方にも安心して長期使用が可能というメリットがあります。フローラルウォーターについてはまたいずれ、別の機会で詳しくご説明したいと思います。

2,圧搾法

オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系の果実の皮から精油を抽出する方法を「圧搾法」と呼びます。ミカンの皮を手でキュッと絞ると、良い香りの汁がシュッと飛び出すのをご存知の方も多いと思いますが、この部分がエッセンシャルオイルです。お風呂でミカンやゆずの皮を絞ると、手軽にアロマバスが楽しめますよね。
圧搾法は柑橘系のフルーツに圧力をかけて、この果皮の部分にあるエッセンシャルオイルを分離させます。加熱しない分、フレッシュで自然な香りを楽しむ事ができる反面、この方法で抽出されたオイルはエッセンシャルオイルとフローラルウォーターの境目がはっきりしないため、エッセンシャルオイルに水分が混ざることがあります。柑橘系のオイルが他のオイルと比べて、開封後に早めに使い切る必要があるのはそのためです。柑橘系オイルの開封後の使用目安は一般的に半年から1年を目安と考えてください。

3,溶剤抽出法

エッセンシャルオイルの作り方-溶剤抽出法

溶剤を使用して花から精油を抽出する溶剤抽出法は、主にローズやジャスミンなど熱に弱い花やから精油を抽出する際に、この方法が使用されます。ヘキサンや石油エーテルなど揮発性のある有機溶剤に植物原料を浸して、その溶剤を蒸発させると「コンクリート」と呼ばれる固形物が残ります。このコンクリートにアルコールを加えて冷却し、ワックスなどの不要物とアルコールを除去したものが、エッセンシャルオイルになります。これらの方法で生産された精油はアブソリュートと呼ばれます。

抽出法や栽培地によっても呼び名は変わる。

エッセンシャルオイルは、このように抽出方法によっても呼び名が変わります。例えばローズのエッセンシャルオイルは2種類の呼び方があります。ダマスクローズの花だけを水蒸気蒸留法で抽出したものは「ローズ・オットー」と呼ばれますが、ダマスクローズとケンティフォリアローズの2種類の花から溶剤で抽出されたものは「ローズ・アブソリュート」と呼ばれ、内容成分の割合や香りも異なります。

また香りの違いは抽出方法だけでなく収穫時期、栽培地によって変わるのが普通です。例えば真正ラベンダー(学名Lavandula angustifolia)でも、標高2000m以上の高地で種から栽培されたものを「ファインポピュレーション」と呼びますが、高地で栽培されたものは標高が低い場所で栽培されたラベンダーよりも内容成分に酢酸リナリルが増えることから、香りの甘さが増し治療効果が高くなるといった特徴があります。

このように抽出方法や栽培地によって同じ精油であっても、内容成分や香り、効果が異なるのがエッセンシャルオイルの面白いところでもあり、それぞれの精油の特徴を知ることにも繋がりますので、精油の抽出方法や産地などで比較してピッタリの精油を見つけてください。

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Miho編集スタッフ SHOP担当者

投稿者プロフィール

レシピとアロマ記事。アレルギーや慢性的な体の不調が改善された経験から「自然療法」にハマる。資格;調理師免許、アロマテラピー、CIDESCOエステティシャンetc…。マルチプレイヤーを目指して最近はNaturopathy SHOPのあれこれも担当しています。日々の経験から役立つ情報をお届けします!

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