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【食物繊維】~飽食の現代には欠かせない栄養素~
たぶん「食物繊維」という言葉を知らない大人はいないのではないでしょうか。特に健康志向の高まりを受けて近年いろいろなシーンでお目にかかる単語です。健康に関係したTV番組や書籍、TVのコマーシャルや雑誌の広告など健康やダイエットを気にしている人なら間違えなく知っているはずです。そんな食物繊維は少し前まで「食べ物のカス」と言われあまり注目されることはありませんでした。むしろ、白くて美味しいパンを作るために食物繊維をあまり含まない精製された小麦粉を使っていました。そして、1930年代にアメリカのケロッグ博士は食物繊維が便秘や大腸炎の患者に良い影響がある事を見つけ、1953年イギリス人の医師ヒップスレーがダイエタリーファイバー(食物繊維)という言葉を初めて使いました。その後、食物繊維の研究は盛んに行われ、今では炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルに続く6番目の栄養素として多くの注目を集めています。
どんな働きをするの?
食物繊維には保水性が高く、水分を含むとジェル状になる「水溶性食物繊維」と水には溶けず水分を含んで体積が増える「不溶性食物繊維」の2種類があります。水溶性食物繊維は糖分や脂肪を包み込みその吸収を抑えるので血糖値の急激な上昇を防いだり、血液中のコレステロールを減少させる働きがあります。それに対して、不溶性食物繊維は水に溶けない代りに水分を吸収して体積が増えるので便の量が増え排便を促進させる事で発ガン性物質などの有害物質を体外に排出する働きがあります。
どうして大事なの?
6番目の栄養素と言っても食物繊維に栄養価はなくカロリーもありません。ではなぜ食物繊維がそれほど注目されているのでしょうか。それは過食の時代といわれる現代では偏った食事による糖分や脂肪分の摂り過ぎ、農薬や添加物などによる体への影響が糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞、高血圧、肥満などの生活習慣病に繋がり、その予防に食物繊維がとても有効である事が証明されているからです。更に、腸の中を食物繊維がお掃除する事で善玉菌が増え腸内環境が整い、免疫細胞が活性化されればアレルギーの改善から身近な所では風邪になりにくい健康的な体を作ってくれます。また、カロリーゼロで脂肪分の吸収を抑えるので肥満防止やダイエットにも欠かせない栄養素なのです。
多く含まれている食品は?
精製された食品が多い現代は昔に比べると多くの人に食物繊維の不足が認められ、この食物繊維の摂取量の減少が生活習慣病や肥満の増加に繋がる原因の1つといわれています。健康維持のためには1日20g以上の食物繊維を摂りたいですね。白米は玄米などの穀物米に、白いぱんは全粒粉のパンに替え、野菜やキノコ類、豆類、イモ類、ナッツ類、海藻など食物繊維を含む食品を多く摂るように普段の食生活を改善してください。